「はるか遠く、彼方の君へ」高校生3人が源平合戦の時代へタイムトリップ

何気なく手に取った本でしたが、予想以上に面白かったので紹介します。

京都に修学旅行に来ていた高校生・夕鷹は、博物館で古い剣を目にした直後、気が付くと炎があがる知らない土地にいた。襲われかけたところを助けてくれた男は、源九郎義経と名乗る。夕鷹は、ほかにも同じ境遇の高校生、華月、遠矢と出会い、三人は元の世界に戻るために、平家と戦う義経について、神器の剣を探す。

「平家物語」の時代に飛び込んだ高校生たちの焦燥や葛藤、恋と別離。圧倒的な力で胸を打つ長編時代青春小説。

Amazonより

この物語は、登場人物たちが「生きている」と感じる一冊でした。
源義経は悲劇のヒーローとして、また静御前との悲恋や、牛若丸(義経の幼名)と武蔵坊弁慶のエピソードも、漫画や小説でも多く扱われてますね。
薄幸の美少年(もしくは美青年)や、超人的な強さを持つ人物として描かれることが多い義経ですが、この作品では懸命にこの時代を生きる武士でした。
主人公を含めるタイムトリップをした三人も、チートな能力などない、ごく普通の高校生!

過酷な戦乱の世では、あっけなく人が死んでいく。それを簡単に受け入れられない主人公たち。
日本に生きる高校生が、いや高校生じゃなくても受け入れられませんよ……。
環境も価値観も違う平安末期は、ほぼ異世界ともいってもいいんじゃないでしょうか。

良く知る歴史上の人物が、実際にこの過酷な時代を生きていたことが、主人公たちの目線を通して感じられました。
弁慶が自分の強面を気にしていたり、静御前に怯えられていることを気に病む義経の姿は微笑ましいですね。

そして、現代を生きてきたこの三人も、異なる環境で生きてきて、様々な葛藤を抱えて生きてきたんですよね。

特に主人公の夕鷹は幼い頃肉親を亡くし、酷い境遇で過ごしているうちに心を閉ざしてしまった少年でしたが、
彼がこの戦乱の世で過ごすうちに、少しずつ生きる力を取り戻していく姿。
夕鷹の幼い頃を知る少女華月の前向きな姿や、弓を通して那須与一に惹かれていく様子。
遠矢は一見堅物かと思いきや、病床に就く平家の姫君美弥との恋。彼女の病を知りながらも、どうにもできないもどかしさを抱える姿。

わりと王道ともいえる設定でありながら、物語に引き込まれるのは、登場人物たちの生き様を丁寧に描かれているところなのかと思うのです。

元の時代に戻るためには、歴史を変えてはいけない。
源平合戦で源氏が勝利した後に起こる、義経と静御前の悲劇を知るだけに、葛藤はあるよなあ……。
三人がどんな選択をしたのか、無事に元の時代に戻れたのか。

それは、本書を読んでお確かめください。
この作者さんの本を、もっと読んでみようかと思います。

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